年輩の人の俳句は

 奥深いものがあります。

  高浜虚子は「深は新なり」

   と言っています。

    
    深くものを見ることによって

   見えないものが見えてくる世界に

  出会った時

 俳句の楽しさを

味わうことが出来るのではないでしょうか。

  


 夏の蝶原爆ド−ムより出でし
 秋となるべく草も木も雨に濡れ
  月高くなり空高くなりにけり
  生涯の冬の支度にかかるべし
  コスモスの揺れやみ空の揺れ止みぬ
  水温むこころほぐるる如くにも
  山頂の霧分けて行く踏みて行く      
  香を零し花を零して懸り藤
  海原を来し春風でありにけり  
  待つ人に逢へ初花へ逢へしこと  
  点滴の命の雫冬ぬくし
  凩や砂場の影をさらひたる
  分校の給食時間さくらんぼ
  初夏の雨の明るさあふれ落つ
  半日のいとまありけり籐寝椅子
  別れ来し人等の遠さ夕桜
  梅雨茸に黙せしひとりひとりかな
  みちのくの駄菓子食べては冬籠